1993（平成5）年4月に全国の大学・短期大学に先駆けて「介護福祉学科」を開設した本学は、2023（令和5）年をもって創設30周年を迎えました。そこで、これを記念し、2023（令和5）年11月25日（土）に「ツナガル、あした。ツナガル、未来。介護福祉の道」と題して介護福祉学科開設30周年記念イベントを開催いたしました。

当日は在学生をはじめ、卒業生の皆様、介護福祉の現場関係者の皆様、地域住民の皆様等、約130名の参加がありました。ご参加いただきました皆様に、ここに記してお礼申し上げます。

第Ⅰ部の記念式典では、銭坂理事長から本学介護福祉学科の開設の経緯について説明がなされました。

木内学長からは「介護福祉士は量ではなく、その質が問われる新たなステージに入った。未来の介護福祉士について共に考える機会としたい」と式辞が述べられました。

丸山学科長は「介護福祉士の存在価値が世の中に十分に認められるよう、これまで培ってきた本学の教育を基盤としつつ、さらに質の高い介護福祉教育を展開したい」とあいさつし、これからもリーダー的役割を担うことができる介護福祉士を養成し、介護福祉の現場を支え続ける決意を新たにしました。

また、介護福祉学科1・2年生は、大学歌「あなたに届けたい」とKiroroの「未来へ」の2曲について、手話を交えた合唱を披露しました。この日のために何回も練習を重ねてきた成果もあり、会場からは大きな拍手が送られました。

第Ⅱ部では「新しい介護福祉士の役割を考える」をテーマに公開講座としてシンポジウムを実施しました。シンポジストとしてグループホームほっとハウスみさとの家の遠山明日香氏、南信勤労者医療協会赤砂在宅介護部長の田中晃二郎氏、株式会社あず住宅型有料老人ホームアリス施設長の丸山朝絵氏、本学介護福祉学科教授の福田明氏による発表を踏まえ、これからの介護福祉士の役割とその養成・育成のあり方について、会場の皆様と考える機会を持ちました。ちなみに、この4名はいずれも本学介護福祉学科の卒業生です。

遠山氏からは入浴・排泄・食事等の介護だけが介護ではなく、畑作りやそれを使った料理、足湯等、利用者一人ひとりの希望や強みを尊重した取り組みを行うことが重要であること、そのためにも利用者一人ひとりに寄り添い、その利用者が何を感じ、何を思っているのかという気持ちを考えることが介護福祉士には求められるとしました。

田中氏からは介護福祉職チームを牽引するリーダーとしてチーム全体を俯瞰しつつ、月に1回職員と個人面談を行う等、一人ひとりの介護福祉士を支えることが実はチーム力を高めることにもなると強調されました。その上で利用者への支援で悩んだ時こそ、介護福祉士同士がチームとして互いに学び合う必要性についても指摘しました。

丸山氏からは介護福祉士を含めた職員がやりがいを感じて働ける職場とするため、モチベーションを高める資格取得支援やスキル等の評価制度、一人ひとりの目標設定とそれに沿った研修の実施体制、意見を伝えやすい雰囲気づくり等、一人ひとりの職員の個性を大切にできる仕組みの重要性が語られました。

福田氏からは介護福祉士がその力量を十分に発揮するためにも、利用者への個別支援、チームワーク、職場環境をバラバラにとらえず、「利用者へのより良い支援」という共通項でリンクさせる必要性が指摘されました。その上で、これからも松本短期大学介護福祉学科は地域における介護福祉士の養成拠点として、将来を見据え、質の高い介護福祉士を育てていく旨が語られました。

コーディネーターを務めた本学介護福祉学科の合津千香教授は、総括として①介護福祉士として利用者へのより良い支援・質の高いチームワーク・やりがいを感じる職場づくりを「諦めない」、②一人ひとりの利用者・介護福祉士の「思いを引き出す」、③そのためにも、自分ひとりで抱え込まず、介護福祉士の仲間、職場の仲間、松本短期大学で一緒に学んだ仲間というように「仲間の存在を忘れない」というメッセージを送りました。

第Ⅲ部では、ホームカミングデーが行われ、卒業生の皆様にとっては母校で久し振りに同級生や恩師と交流を深める機会となりました。おにぎりや豚汁を食べながらの語り合いや近況報告を通して、楽しい一時を過ごすことができました。

母校に集った卒業生の皆様からは「久し振りに仲間や先生たちと会えて元気をもらった」「介護福祉士としてもっと頑張ろうという気持ちになった」等の声が聞かれ、この30周年記念イベントが学びと交流だけでなく、一人ひとりにとって明日に向かって前進する力につながったようです。